GNVニュース 2024年11月14日
ボリビアでは、社会主義運動(MAS)党内で、エボ・モラレス元大統領とルイス・アルセ現大統領間の権力闘争が激化している。2006年に初の先住民大統領となったモラレス氏は、先住民の権利拡大や経済格差是正、コカ生産者への規制緩和、産業の国営化を掲げ、14年間にわたり国を統治した。しかし、2019年に事実上のクーデターが起こり辞任・国外逃亡を余儀なくされた。辞任後の暫定政権の運営の失敗に、新型コロナウイルスのパンデミックによる壊滅的な経済影響が重なり、2020年10月の選挙でMAS党のアルセ氏が大統領に就任し、モラレス氏も帰国した。しかし、アルセ政権に対する影響力を主張しようとしたモラレス氏はアルセ氏との間に大きな摩擦を引き起こした。
アルセ大統領が国家機関を掌握し都市部で支持を得る一方、モラレス氏は先住民やコカ栽培地域に強い影響力を持つ。2024年10月初旬、モラレス氏が法定強姦と人身売買の容疑で捜査されていることに抗議し、モラレス支持者がアルセ大統領の辞任を求めて道路封鎖を行った。また、10月下旬モラレス氏は暗殺未遂にあったと述べ、政府関係者による犯行だと疑ったモラレス氏の支持者による軍事施設襲撃事件も発生した。さらに、11月8日には憲法裁判所がモラレス氏の再選立候補を禁じる判断を下した。
この主導権をめぐる権力闘争により、MAS党内の分裂が深刻化している。モラレス氏の弱体化とアルセ大統領の支持率低下も相まって、野党勢力の台頭が注目されている。
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ルイス・アルセ現大統領(左)とエボ・モラレス元大統領(右)(2020年)(写真:Divulgação / Flickr [CC BY-NC-SA 2.0])
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