GNVニュース 2024年8月16日
2024年8月10日、セルビアの首都ベオグラードで約30,000人の市民がリチウム採掘プロジェクトへの大規模な抗議活動を行った。過去2週間にわたって数十の町や都市でのデモ活動が行われており、今回のデモで最高潮に達した。
この採掘プロジェクトはジャダル渓谷を拠点として、英豪の鉱業大手リオ・ティントが主導している。リチウムは電気自動車のバッテリーなどに必要な金属であり、ヨーロッパのグリーンエネルギー移行における重要な動力源として業界のサプライチェーンで切望されている。しかし、リチウム採掘は地元の土壌・水源など環境への影響が懸念される。さらに、リチウムの価格は過去2年間で80%下落し、2030年まで下落し続けると推定されており、経済的な観点からはプロジェクトの実現可能性は不透明であるという指摘もある。2022年には抗議活動を受けて政府が採掘権許可の取り消しを発表し、プロジェクトの終止符が打たれたかのように思われた。しかし、裁判所が採掘権許可を取り消すことに違憲判決を出し、2024年7月にセルビア政府がプロジェクトを再開させたことによって市民の怒りをあおる結果となった。現在も抗議活動は続いている。
セルビアが抱えるほかの問題についてもっと知る→「コソボとセルビア:その行方とは?」
鉱物資源採掘による世界の問題についてもっと知る→「鉱物資源と世界:その利益はどこへゆく?」

セルビアの首都ベオグラードでのリチウム採掘に対する抗議(写真:Emilijaknezevic / Wikimedia Commons [CC BY 4.0]
0 Comments