バンクシーの世界(その18):「ナパーム弾の少女」

by | 2020年11月10日 | ICHIMAI World

満面の笑みのミッキーマウスとロナルド・マクドナルドと手をつないで歩くのは、苦しみの叫びを発している裸の少女。アーティストとして活躍している「バンクシー」によって描かれた作品なのである。

少女の姿はAP通信のカメラマンに撮られた実際の写真から複写されたものである。1972年ベトナム戦争の最中、米軍の命令で南ベトナム軍の戦闘機が、ある村にナパーム弾(焼夷弾)を落とした。泣き叫びながら逃げる子どもたちの中、付着したナパームで衣類も皮膚も焼失した9歳のキム・フックさんがいた。十数回の手術を受け後遺症が残ったものの、幸い回復を果たした。

資本主義を共産主義の「脅威」から守るという名の下に300万人以上の命を奪ったベトナム戦争。その資本主義の表の顔を表す象徴として子どもが好む遊園地のアトラクションとファストフード。しかしその裏には戦争と子どもの苦しみがある。バンクシーはそのようなメッセージを伝えたかったのだろうか。

 

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(写真:Saya Miura)

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